ルナ様からのリクエスト
『ローレライ=クトゥグア。TOA世界=クトゥグアが幽閉されている惑星フォーマルハウト。ルークとアッシュが、ニャルラトテップの天敵・旧支配者クトゥグアの力を持つ者。二人は本体であるローレライを解放したら、幽閉地であるTOA世界を焼き滅ぼす気(最初ルークは反対だったが、同行者によって考えを変えた)。でも二人が手を出さずともニャルラトテップの干渉でTOA世界は滅び行く運命にある』






(※犠牲者その2。今回は、クトゥグア(アッシュ)の影響で操り人形になってしまった人が出てきます。オリキャラで、名もないヴァンの部下と違って、名前ありです)












【最初は、誰もが嘘だと思った。信じる事が出来なかった。】 3 (お題提供:オセロ(終末世界20のお題から抜き出し))

































 私がこのお屋敷で働くようになって、もう15年近くになります。
 あの惨劇から、もうそんなに時間が経っているのかと思うと、時が経つのは本当に早いのだなとしみじみ思います。
 今でも時々夢に見る。奥様が炎に焼かれながらご子息様をお産みになられたあの時のことを……。
 ご出産の前、奥様は、ご子息、ルーク様を産んではならない子だと訴えておられた…。
 恐怖のあまりに、奥様は日が経つごとにやつれられ、その姿は痛々しくとても見ていられなかった。
 そして奥様は……。
 奥様は奇跡的に一命をとりとめたけれど…、今度は旦那様が心を病んでしまわれた…。
 たまたま聞いた話では、ルーク様が恐ろしいのだそうだ。
 奥様を炎で焼きながら産まれてきたのだから、恐ろしくて仕方がないの皆同じだと思った。私もルーク様を恐ろしく思っていたのだから。
 同じ職場の仲間がルーク様に焼き殺され、私もいつ目をつけられるかわかったものじゃなかった。怖くて怖くて夜も眠れなくなることも少なくなかった。
 ところがルーク様が10歳になられた年、ルーク様が何者かに誘拐されるという事件が起こった。
 そして戻ってこられたルーク様は、まるで赤ん坊のようで、あの恐ろしさも、不気味さもなくなっていた。
 変わられてしまったことは、本来なら悲しまなければならないことだろうけど、正直すごくホッとしている。きっと私だけじゃない。
 最初の頃は、ルーク様はよく泣かれていたけれど、ある日からあまり泣かなくなった。その代わり、ガイによく懐いている。
 ルーク様は、日ごとに言葉を覚えていき、一人で歩けるようになっていった。
 そうなってくると、だんだんと性格も以前と違うのだと分かってきた。
 口は少々悪いけれど、今のルーク様は、以前のルーク様と違ってお優しい。
 以前のルーク様を知らない新人の子達が、失敗した時、随分と助けられたと聞いている。
 お貴族様らしくないといったらそれまでだけど、下の者に目を配ってくれるそのお心遣いに、私達メイドや騎士団の人達も、今のルーク様に救われている。
 あの方のためならばこの命を捨てても構わない、と宣言する騎士の人もいるぐらい。
 私も、今のルーク様が好き。
 以前のルーク様に戻らないでほしい。
 そう願わずにいられない。
 だから、守らなければ。
 たとえこの身が滅んでしまっても。
 たとえ…、たとえ…、た…と……え?

 私の部屋の明かりが、ユラユラと揺らめいていました…。
 おかしいなぁ…? 第五音素は、火なんだから揺れて当たり前なのに、なにを今更…。
 けど…、どうして、今気になったんだろう?
 私は…、わたしは…、ワタシ? ワタシ…、どうして目がハナセナイの?
 オクサマを焼いた火も…、こうだったのかな?
 ううん…違う、もっと、きっともっと綺麗だったはず。
 この明かりなんかじゃ叶わないくらい、ルーク様の火はキレイ。
 キレイ…キレイ…キレ…イ……。

「う…ふふふふふ……」

 ワタシは、知らず知らずのうちに笑ってた。
 あれ? どーしたんだろ? 笑いが…止まらないの…。
 まも…らなきゃ…。守らなきゃ…。あの方を……。

「ディーリン?」


 るーくさま。
 だ い じょ う ぶ


 この方を 守るのが、私の…使命……





 そうですよね?

 
ルーク 様







 後輩の子が、言ってた。
 ワタシの背後に、炎みたいなのが揺れているって……。
 きっと……気のせい。
 キノセイヨ。

 変だとオモウ、アナタの方がおかしいんだよ?

 だから…、アナタも……、いっしょ…に。あの方を……守りましょう。


















あとがき

 クトゥルフ特有の不気味な感じを目指したかったんですが、難しい…。クトゥルフ神話の創造主達の偉大さを感じる今日この頃…。
 オリキャラ、ディーリンさんは、洗脳後は普段通り、でも中身は壊れてます。
 彼女は、古株のメイドでルークの出産時の当事者のひとりです。
 アッシュのことが怖かったので、ルーク(レプリカ)が来たことはすごく心身ともに安心することだった。それでルークに好感をもっていたところを付け入られて、部屋の明かり(火)を通して洗脳されちゃった…(ごめんなさい)。
 彼女は、再登場予定です。都合であまりいい役はしません…。

 ちなみに最後の方の、赤字のルーク様は、アッシュのことです。






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