今日の置き手紙があまりにも、トーリ・スガル様のリクエストとかけ離れていることに管理人が自己嫌悪にかられたため、続編付加。




(※慶次兄さんが、ルークを探しにきたPT達と接触して…っという話)
(※友情のつもりですが、慶次×ルークっぽい…)













『自由意志だって尊重してみせよう』(お題提供:














 ありがとう


 俺にそう言った時のルークのあの顔…、俺は絶対に忘れねぇ。




***




「そこをどいてください!!」

 どいてやらねぇ!

 俺は、目の前にいる異国人…つーか別世界の奴らの進路を塞いでいた。
 肩の上で夢吉が毛を逆立てて、あいつらを威嚇している。
「この先にルークがいるのはわかってるんだ! 頼むから通してくれ!!」
「行かせねぇ!」
「何よあんた、偉そうにして、何のつもりよぉ!!」
「今の俺は女子供だろうと容赦はしねぇぞ!! 分かったらさっさと自分達の世界に帰れ!!!!」
 俺が愛刀を振り回して本気を伝えると、あいつらはますます煩くなった。

 行かせねぇ! 絶対おまえらをルークのところになんか行かせねぇ!!

 なぜって? だってこいつらは…。




「私達はルークを連れて帰りたいだけなのよ!! あなたと争いをしたいわけじゃない!!」
「ルークは自分の意志でここに来たんだ! 元の世界が嫌だったから…」
「あなたの意見は聞いていませんよ。私達としても無駄な争いはしたくなのですが…」
「……ルークは、言ったよ」

 未来の繁栄のための生贄として作り出されたこと。
 束縛され、閉ざされた生活のこと。
 無理やり放り出された、血生臭い戦い。
 裏切られ、罪を罵倒され、捨てられて、変わることを強制させられ、救済のために死を求められ、死ぬ瞬間まで自分が自分であることすら認められなかったこと。
 自分と同じ力を持つ音素の集合体の厚意で蘇らされたこと。

 そんなことを欠片だって望んじゃいなかったことを、ルークは俺に教えてくれた。

「言ったんだ…。帰りたくないんだってな!!!!」
 俺は、俺がルークから聞いた話を聞いて、なんでそんなことを思われているのかこれっぽっちだって分からないって顔を隠しもしない奴らと、俺との間に思いっきり愛刀を振り下ろした。
 炎とともに、地面が大きく抉れて、穴があいた。
「分かったらさっさとここから出て行け!!!!」
「っ…、仕方ありませんね」
 ジェイドとかいう奴が、何もないところから槍を出し、他の奴らもそれを合図に武器を出した。

 いいぜ…。かかってこいよ!!!!

 何が何でも…、こんな奴らをルークの所には行かせない!!!!

 俺は、柄を握りなおして構えた。




***




 洗濯をしていたルークは、ふと、遠くの方から爆音と軽い地響きがしたのを感じて手を止めた。
「…なんだ?」
 ルークは立ち上がって、訝しげに爆音がした方角を眺めた。だが木々に囲まれていて分からない。
 何度か地響きがきたが、やがてなくなった。
 ルークはしばらく聞き耳を立てて、様子をうかがっていたが、やがて問題はないと判断し、残りの洗濯物を片付けることにした。

 しかし、それらが終わったあと、再びルークは動きを止めた。

 血の、匂いが、する。

 その時、近くの茂みがうごめいた。

「っ…? ……! 慶次!?」

 そこから姿を現したのは、慶次だった。
 慶次は愛用の巨大な刀を杖代わりに足を引きづりながら歩いてきたので、ルークは慌てて慶次に走り寄った。
 慶次の体には、切り傷、打撲、火傷といった怪我が多数あった。
「どどどどどど、どうしたんだよ!? 何かあったのか!?」
「……」
「慶次?」
 命にかかわるほどではないが、それでも結構な深手をおっているはずの慶次の、あまりにもまっすぐな視線に射抜かれて動けなくなった。
 慶次は片手を伸ばし、ルークを引き寄せると片腕だけで抱き込んだ。
「な!? 慶次!?」
「……る、から…」
「へ?」
「俺が、守るからな…!」
「! 慶次…」
「こっちの世界にいろよ。あいつらがどんな手を使ってきても、ルークを連れて行かせないぜ!!」
「……っ…。…ごめ…、慶次…」
「謝るなよな! あいつら、ルークが帰りたがってないって言っても聞かねえから…」
「だからって…、俺なんかのために、こんな怪我して…」
「〜なんかのためって言うなよな!! 次言ったらぶっとばすぜ!!!!」
「だって…」
「だってじゃねぇ!! ルークのせいじゃないぞ、ルークの気持ちを考えないあいつらが悪いんだ!!!! …だから、そんなこと言うなよ」
「…うぅ〜…、慶次のバカ〜…アホ〜……」
 慶次の胸に顔を埋めて泣き始めたルークを、慶次は体が痛むのをこらえて力いっぱい抱きしめた。




 その後、ルークの元同行者達がこりもせずに何度も来たが、その都度慶次が追い返し。
 やがてそれを聞きつけた前田夫妻が参加。
 慶次は前田夫妻と共にルークを説得し、前田家に住居を移させた。
 そして平和になったのも束の間、前田家にルークがいることを嗅ぎつけた奴らと再び戦いになるが、この時ルークも参加し。

「お前らなんかのために生きるなんて御免だ!! 俺はこの世界で生きる!! おまえらがいると空気が腐る!! てゆーか、迷惑なんだよ!! むしろ公害だ!! 分かったらとっとと帰れ!!!!」

 …っという感じで、散々彼らを罵倒した結果。さすがにルーク本人に拒絶されたのが効いたか、彼らは以後、こちらに姿を現すことはなかった。


 ルークはついに、本当の平穏を手に入れた。










あとがき

 ルークを守るために戦う、カッコいい慶次を目指したかったのですが…、難しい…。

 ルークは、結局前田家の家族になりました。

 リク内容をよく見ていなかった私が悪い…。
 別世界で得た「仲間」は、本来バサラ世界の連中全員の方がよいのでしょうが、前作が前作なので、前田家が仲間です…。
 元仲間の仕打ちに激怒、コテンパンにするまではかなり略称してしまいましたが、形にしたつもりです。
 …ただルーク自身が元仲間に、一緒にいたくないってことをハッキリと告げるというのはいまいち伝わりにくくなってしまった感が否めない…。文才ないって悲しい…。


 トーリ・スガル様…、本当にごめんなさい。トーリ・スガル様のみお持ち帰りください。
 もしお気に召しませんでしたら、書き直しをさらに検討します。






戻る