中編

(※話はいきなり飛んで、ユリアシティへ)
(※やっとダンテ&人修羅登場。…でもギャグです。でもアッシュやPTに厳しいです。ついでにローレライが酷い目にあってますので注意)
(※何故か、イオン視点。イオンが黒いです)







シンデレラの優雅なランチタイム』 後編 (お題提供:香水アリス










 

 アグゼリュスが…崩落して障気の海に沈んでしまった。
 ティアの譜歌で何とか生き残った僕達は、タルタロスでユリアシティへと向かった。

 その間に起こったことは…とてもじゃないですが愚の骨頂をそのまま再現したようなものでした。

 キムラスカに身柄を拘束されていたはずのアッシュの言葉を…、ルークがアグゼリュスを崩落に導いたという言葉を、彼らは信じた。
 フリングス将軍やセシル将軍達はおそらく外郭大地で、崩落から逃れて助かっているだろう。ルークの的確な指示で救援部隊や住人達の移動させるのに一旦離れたから。
 …だがその隙が、この悲劇を起こす隙を与えてしまった。
 ルークが一人になったその隙に…、周りに誰かがいれば防げたはずなのに…。
 ザオ遺跡に連れてこられた僕は、そのあとヴァンにアグゼリュスへと連行された。
 そして僕を人質に、ヴァンはルークを坑道の奥へと連れて行った。

 ルークは、優しい方だ…。導師失格の僕を見放さず、反撃の機会を窺って…、そしてパッセージリングの前でヴァンに剣を向けて僕を助け出してくれた。
 ヴァンが『愚かなレプリカルーク』と言ってけれど、ルークの身には何も起こらなかった。
 ルークの精神力が暗示に勝ったということだ。彼と接していて、そしてタルタロスで見たルークに従う魔物とは明らかに違う存在達を見て僕は確信した。ルークは、この世界ではないどこかで力や知恵を得たという経験があるのだ。
 いったいどんなことをしてきたのか分からないけれど、ルークの力はヴァンよりも遥かに勝っていた。
 逃がす隙を一切与えないルークの猛攻に、ヴァンはついに力尽きた。
 その時だった。リングが砕け、崩落が始まったのが。

 ……ルークは、本当に何もしていない。勝手にリングが壊れたのだ。なのに崩落が始まった頃になって駆けつけたティア達はアッシュが言っていた言葉を信じてルークが超振動でリングを破壊したと思い込んだ。

 ありえない…。ここまで馬鹿な人間達の側にいた自分が信じられない。
 いまさらルークに謝ったって遅いけれど…、でも僕は彼らとともにいたくなんかないから、「イオン様、そんな馬鹿な奴ほっときましょうよ!」と言って、僕をタルタロス船内へ引きずって行こうとするアニスの手を振り払った。
 驚く彼女達の声などもう耳障りにしかならない。
 甲板で背中を向けたまま立っているルークのもとへ。頑なに自分の意思を貫く彼の傍に。
「……中に入った方がいいぞ」
「いいえ。あなたをおいてはいけません。全ては僕の責任ですから」
「イオン様は悪くありません! ルークが兄さんに従ったせいです!!」
「黙りなさい! 何度僕がヴァンに人質にされたからこんなことになってしまったんだと言ったら分かるんですか!! それなのにルークは僕を救った。ヴァンを疑いもしなかった僕を! パッセージリングは勝手に壊れて…」
「イオン。もういい」
「ですが!」
「…もっといいやり方があったんだろうけど、俺頭悪いからな……」
「ルーク…」
「ご主人さまー! 泣かないですのー!!」
「泣いてねぇ」
「酷いですの! ティアさん達酷いですのぉ! ご主人さまは、イオンさんを助けたのに信じてくれないですの!! ティアさん達が変に止めちゃったりしたから、せっかくご主人さまが髭を公開ムチ打ちショーできるって喜んでたのに中断されちゃったですのー!!」
「こぉらぁ、ブタザルぅぅぅ!! なに話を誇張してやがる!!!!」
「ミュウ、違いますよ。ルークはヴァン…いやあの髭ムサ男を裸で亀甲縛りの上で町中放置プレイする予定だったんです」
「そうだぞブタザル、俺がムチぐらいで満足すると思ったら大間違いだ!!」
「みゅうううう、ごめんなさいですの〜」

 どっちも変態プレイって点じゃ変わらねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!(by 外野)

 その突っ込みをする勇気を、彼らは持ち合わせていなかったようです。別にいいですけど。

「あーもう、いいだろ。ほらイオン顔色わりぃじゃねーかよ! さっさと中入るぞ!!」
 そう言ってルークは僕を抱えて、ミュウを頭に乗せてタルタロス船内に入った。


 …そしてユリアシティで、僕はついに出会った。

 ルークの強さの源。彼を育てた育て親。


「ルーーーーーーークーーーーーーーーー!!!!!」
「ダンテ、人修羅!!」
 ユリアシティの広場で、性懲りもなく生きていた、ルークが責められる原因を作ってくださった鶏…もといアッシュがぎゃいぎゃいとルークを罵倒していたところに、光とともに出現した二人の人間(?)の一人がルークの姿を見るなり走ってきた。
 ルークも彼らの姿を見ると今まで見たこともない安堵しきった表情で走ってきた人に抱きついた。
 ダンテ…、それに人修羅? そう言えばルークが呟いていた言葉の中にあったような…。ああ、彼らがそうなのか。
 それにしても…、あっ、見えている部分に緑色の光を放つ刺青のある方…人間じゃないのですね? それに赤いコートの銀髪の方も…普通じゃない。
 銀髪の方の片手には、赤と金色が混じった輝く何かが握りしめられていた。
「ルーク、よかった!! 無事!? 怪我は!?」
「ううー、もう大変だったんだぜ!! もう会えないかと思った…」
「おいおいガキじゃねーんだからベソかくんじゃねぇよ」
「おい、話は終わってねーぞ!!」
「ああ?」
 アッシュが彼らの感動の再会をぶち壊した。銀髪の方…ダンテがじろりとアッシュを睨んだ。
「なんだこのガキ?」
「が…、っ、屑が! そいつは俺のレプリカなんだよ!! 出来そこないだ!!」
「ええー! 人間でもない奴にアグゼリュスを壊されちゃったわけぇ!?」
 いつの間にか戻ってきていたアニス達がルークがレプリカだと分かるなり、口々に彼を罵倒した。
 その内容に、ダンテさんは不快そうに眉を吊り上げた。
「…何があった?」
「実は…」
「違うですの! アグゼリュスはご主人さまが壊したんじゃないですの!! 勝手に壊れたのに、ご主人さまが壊したって言うですの!!」
 ミュウが幼さからくるたどたどしい言葉で事の次第を二人に伝えた、その間にもアッシュやアニス達が自分達の思い込みで反論してくるのだが、人修羅という方もダンテさんもそっちには耳を傾けなかった。
 抜け所はルークが埋めた。
「それ…本当かい?」
 不思議な刺青が体に刻まれている人修羅という方が、ボロボロと泣くミュウを抱き上げて聞いた。ミュウは何度も頷いた。
「そうか…」
「……少年?」
「ダンテ。悪いけど、ルークとこの子連れて避難してくれないかな?」
「待て。落ち着け少年。穏便に行こう…ぜ?」
 冷や汗ダラダラのダンテさんの様子から、僕は非常に嫌な予感を覚えた。
 さっきから、…その……、この悪寒。ライガクイーンの殺気や人が放つものとも比べ物にならないとてつもない覇気が…。
 これは…人修羅さんが?
 人修羅さんはすごく綺麗な笑顔で、ニコニコ笑っているけれど、背後からはゴゴゴゴゴ…っという音が惜しげもなく聞こえてくる。いや、雰囲気だけじゃなくてこの街そのものが揺れていた…。
「や…、やばい! イオン、逃げっぞ!!」
「は、はい!!」
 ルークが叫んで我に返った僕の手を取り、ダンテさんに二人して抱えられて一目散にその場から離れた。もちろんミュウはルークの手の中だ。
 直後、人修羅さんが隠していた力を惜しげもなく発揮して…。


『うちの子に何してくさった、おまえらあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』









「…ひ、久しぶりに見たなぁ。人修羅の“地母の晩餐”…」
「ボルテクス以来、あいつの気がよっぽど高ぶった時じゃなきゃ使わなくなったからなぁ…」

 膨れ上がる凄まじい魔力を眺めながら呟いていた二人の言葉を、僕は聞いていた。

「ところでダンテ。それ何?」
 ルークが、ダンテがずっと片手に握りしめていた破裂した風船みたいな感じでへちゃりとなっているものを指した。
「あぁ、これか…ロー…何だったか。ど忘れしたぜ」
『ぬぁ! 貴様ぁ…!』
「「喋った!」」
 いきなりびくんとそれが動いたので、僕とルークは同時に声をあげてしまった。
「なんだぁ? まだ生きてたか?」
『い、いきなり我を捕まえてサンドバックにするなど…一体どういう…っぐ!!』
「忘れたか水風船。っざけた書置きおいてルーク掻っ攫っていったじゃねぇかよぉ?」
 ダンテさんが水風船?をギリギリ握りしめて、ついでにもう片手でデコピンをお見舞いしながら眉を吊り上げて言った。
『み…水風船ではな…い! 我はローレライと、ぅああああああっ!!』
 こっちがあれがローレライだというのに驚く暇もなく、ダンテがローレライをちぎれそうなほどブンブン振り回して止めた。
「じゃあローちゃんよぉ。おまえか? 七年前、おまえがうちの店の前にルークを置いてったんだな?」
「!!」
『そ、うだ…。おまえ達の力を見込んで、我の同位体である愛し子を育ててもらおうと…。そして時期がきたので返してもらっ、ああっ!!』
 言い切る前に、ダンテがローレライに強力なデコピンを入れた。
「そのためにおまえは、この世でただ一人の悪魔を敵に回したんだぜ?」
『な、なにぃ!?』
 驚くローレライに、ダンテは自虐的な、諦めたような笑みを浮かべて示した先には、いつのまにか戻ってきていた人修羅が、全身から魔力を燃え上がらせてギラギラと目を金色に光らせている姿があった。
「あいつな…素直じゃねーから口にしねーだけだけどよ、ルークのこと、マジで可愛がっててな。そりゃもう母親そのものだったつーか。とにかくこいつのためなら神でも悪魔の親玉でも殺せるってーぐらいって…分かんだろ? もっかい言うが、おまえ…とんでもねー奴を敵に回したんだぜ?」
『あ…うぅああああああああああぅぁぅあああああああ』
 ようやく事態を理解したローレライが、ガクガクぶるぶると震えながら、意味のない声を上げ続けた。
「バイバイ…、ローレライ。来世で会おうぜ」
 ローレライは、終わった…。もう絶対助からない…。僕はルークと一緒にローレライに手を振った。ミュウも哀れそうに手を振った。
『ルークーーーーーー!!!!』
「ほら、少年。これでめーいっぱいうさ晴らししな」
「フフフフ、ありがとv」
『いいいいいいいいいいいいいいいやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』




 魔界の景色の中に、ローレライの悲鳴がこだまして消えた…。




 その後、僕らはダンテさんと人修羅さんの助力を得て、世界の危機を救い英雄になった。
 ルークは、一折のことが片付いたあと、ダンテさん達がいる世界へ帰った。
 僕達だけの特別な郵送方法で、今も僕はルーク達と文通を続けている。
 つい先日、デビルメイクライという店を今も三人で続けていて、色々あるけど元気にしているという手紙が届いて、僕はこっちの世界が平和なことを書いて送った。

 僕達が取り戻した平和な世界の空を、鳥が歌いながら飛んでいく姿が、窓から見えた。










あとがき

 すいません! すごく細かいリクエストをいただいたのに結局生かしきれませんでした!!

 最初のうちはシリアスな流れがあったんですが、書いてるうちに…何故かギャグちっくに…。
 ただ親馬鹿な人修羅がぶちギレて、ローレライをボコって、最後はイオンとピュアな…なことに。何故だ…(書いたのはおまえだ)。
 PTとアッシュ達に関しては、とりあえず人修羅に始末されたわけじゃないです。死んではいませんが、世界を救う行事には参加してません。

 御不満でしたら、書き直しを検討します。
 昴様だけがお持ち帰り可能です。







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