60000ヒット記念企画で、もへじ様のリクエスト『TOA+「戦国BASARA2」の設定で政宗・小十郎がルークと仲良くしているお話』




(※リクからかなり外れてしまった感が否めない、政宗と小十郎のほのぼのな感じになりました)
(※場面は不明)












『ウサギの眸に雲のいろ(お題提供:DEVIOUSDDDS!













 小十郎は、ちょっと目を離したすきにいなくなった主の姿をさがしていた。

 自分達が住む世界と、対をなすもう一つの世界にやってきて、あの伊達政宗がじっとしているはずがないのは長年従ってきただけに十分すぎるほど理解している。

 けれど守護たるルークの護りのない、いつ心を見失って、敵味方の区別なくその命の全てを燃やしつくすまで戦い続けようとする状態に陥っても不思議ではないこの状況下で、勝手に動くのは危険すぎる。

 ルークが傍にいればすぐにでも止められるが、いない時、最悪己の手で主である政宗を…。

 小十郎は目つきをより鋭くさせて、周囲をくまなく探し回った。


 やがて、主の特色である蒼い色を発見し、一発きつい説教をしなければと足早に向かった。


「政宗様、お探ししましたよ! いい加減に今おかれている状況を…」
 だが小十郎は途中で言葉を切った。
 政宗が人差し指を自分の口元において、静かにするよう指示したからだ。


 木陰で横になっていた政宗の隣には、スヤスヤと寝息を立てて寝ているルークがいた。


「ルークが起きるじゃねぇかよ」
「…それとこれとは話は別ですぞ」
 もちろん二人は小声だ。
 ルークを間に挟んで、奥州が誇る二人の竜が、かたやすぐ突っ走る筆頭にお説教を、かたや耳をほじって適当に聞き流してを繰り広げた。
「ルークの寝顔を拝むなんざ…、何年ぶりだかな」
「話を聞いているのですか? 全くあなたときたら…」
 政宗はくどくど説教を続ける(もちろん二人とも小声だ)小十郎を軽く無視して、寝ているルークの朱い髪を指で梳いた。
 さらさらと指の間をぬける金色をおびた朱い鮮やかな髪に、ぐっすりと眠っている幼さの残るルークの寝顔に、政宗は自然と顔を綻ばせた。

 そして、ふと思い出すのは、本来住んでいた世界でのこと。

 母親から疎まれ、幾度も命を狙われたが、その都度難を逃れてきた。

 そんな辛い時期を乗り越え、今こうして奥州を束ねる筆頭として立てるのも、全部ルークがいてくれたからだと思っている。

 寂しい時に一人で歌(譜歌)を口ずさんでいたら、どこからともなくやってきて遊び相手や話し相手になってくれたり。

 決断に迷った時は、背中を押してくれた。

 慢心すれば試練を与えられて、初心を思いださせてくれた。


 …それはさておき、ルークの寝顔に関する思い出は、まだ政宗が十代半ばも言ってない頃のものだ。

 それはある日のこと、あれは確か日が落ちる直後の、夕方だった。

 政宗に宛がわれていた部屋の戸にもたれて、スヤスヤと転寝をしているルークがいた。

 神様も寝るんだと知り、寝顔を見ようと近寄ったら、急に目を開けたので驚いたら、そのまま抱っこされた。

 驚く暇もなく、そのまま部屋の中央まで抱っこされたまま連れていかれて、抱き締められたまま畳の上でルークが二度寝に入ってしまい、小十郎が来るまでの間、形は人間でも世を支える守護神ルークの腕力に抱き締められていたものだから酸欠になりかけ、ろくに動けなかったから解放されてからしばらく体の節々が痛かった。

 でも痛いよりも、BASARA界を安定させている守護神だからか、触れた端から身も心も解され、癒されるような不思議な温もり感じて、幼い政宗はずっとこのままでいたいと思ったのを鮮明に覚えている。

 痛い思い出ではあったが、寝ているルークを見たのも、しかも一緒に寝たのも、政宗が最初で最後だという話に、大人になってから諸国で自慢しまくったことがあった。


「あんたの寝顔を拝めたのは、あれが最初で最後だと思ってたがな〜」

 今自分の隣で、無防備に寝ているルークの頬をつつくと、ルークは擽ったそうに微かに呻いた。
 その様子に、心和ませながらふと視線を変えると、小十郎が呆れ果てたような諦めたような顔をしていた。
「説教は御終いか?」
「どうせ言うだけ無駄ですから」
 小十郎はため息をつくと、そのままその場に腰を下ろした。
「こういうルークも可愛いな?」
「……」
 否定の言葉がないのは肯定だろう。
 自分達が知っているルークは、今ここにいるBASARA界での記憶を一切を失ってしまったルークとは根本的なところは同じでも、記憶とともに力を失ってしまっているせいかまるで別人だ。
 けれど、だからといってルークを否定したりなどしない。
 生まれた瞬間から、ずっとその存在を感じ取り、見て触れてきたある意味親兄弟よりも近い所にあるといっても過言ではない存在であるものを、間違えようがない。
 そうでなければ、自分達が住む世界と対をなす、もう一つの世界で、こんなにも早く彼を見つけることはできなかったのだから。
 例え何が原因でルークが変わり果ててしまおうとも、きっとこの思いは変わらないだろう。
 例えいかなる場所にいようとも、探しだす自信がおおいにある。

「住人どもはヘロヘロしかいねぇが、こっちもいい風が吹くな…」
「ええ…」
 程よい暖かさと、吹き抜ける風は心地いい。
 ルークが昼寝に入る理由も分かる。




「……?」
 ルークは自分の体があまり身動きできなくなっていることに気づいて、目覚めた。
 そして次の瞬間、認識したのは…。

「…いっ!?」

 がっちりと自分の体をホールドして寝ている政宗と、政宗とは自分を挟んで反対側で座り込んだ状態で目を閉じて寝ている小十郎がいた。
「な…、ななななななんだこれーー!!!!!!???」
「やっと目が覚めましたか?」
「呑気に言ってる場合かー!! っ、い、ででででで!!!!!!!」
 体をよじろうとしたら、政宗がむ〜とかう〜とか唸りながら、ルークをホールドしている腕に力がこめて締め上げてきた。
「た…助け…死ぬ、マジ、死ぬ!!!!」
「いえ、守護たるあなたはそう簡単には死にませんよ」
「例えそうでも、これは言葉の比喩だーーーー!!!! それぐらい苦しいつーの!!!!! 見てないで助けろ!!!!!!」
「それは、難しい相談ですな」
「はい!?」
「政宗様の寝起きはそれこそ眠れる竜を叩き起こすのと同意義。自然と目覚めるのを待つのが得策ですよ」
「そ、そんなぁ…」
 がっくりと脱力するルークに、小十郎は心の底から詫びを入れつつ、幸せそうに眠る政宗を見た。

 記憶の一切を失ってしまったルーク殿には申し訳ないが、政宗様のため、しばらくそのままでいてやってください

 普段は突っ走りやすい政宗のストッパー役にまわる小十郎だが、政宗のこう普段の猛々しさのとれた姿には弱いらしく、寝起きは決して悪いわけじゃない(むしろ良いぐらい)のに嘘を言って、ルークにしばらくの間政宗の抱き枕になってもらうことにしたのだった。



 ……20秒後に風の如くスッ飛んできた幸村が乱入するまでは。






あとがき

 激しくリクから外れてしまった…。仲良しじゃないな…これ。
 全体的に寝てるルークに、色々と思う二人みたいな流れ。
 苦労してるけど何だかんだで政宗に甘い小十郎と、幸村とは別の意味(このネタ中での幸村はルークに構ってもらいたいやんちゃな子犬)でルークに甘える政宗。
 BASARA界守護神のルークは、政宗だけにかまうわけじゃないです。ちゃんと自分が守護する世界の住人全員をくまなく見て、必要なら手を出してます。

 守護神は眠ることで使った力を回復させます。物は食べませんが(食べようと思えば食べられるが空腹感とかはない)。
 ルークもローレライみたく、本来の姿は光の塊みたいな定まった形のないもので、何もしないときは…まあ音譜帯でしょうか、そういうところで漂って寝ます(この状態だと肉眼では見えない)。
 政宗のところで寝てたルークですが、ルークは人型になることが多すぎるので、頭の上に眼鏡をかけたまま忘れて眼鏡を捜すみたいな感じで、実体化したまま寝ちゃった、政宗のところにいたのは偶然。出先を前違えたんです。
 チビ政宗を抱き枕して寝たのも寝ぼけたからです。

 もへじ様、このような感じに仕上がりましたが、いかがだったでしょうか? こんなのでよろしければもへじ様だけお持ち帰りください。
 もしご不満でしたら書き直しも検討します。






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