60000ヒット記念企画で、拍手からのリクエスト『純粋馬鹿な順行ルーク←黒スレ逆行ルーク←ムカツク逆行一行で黒ルク&ロレ父VS一行』
(※リクエスト内容が内容なので、やりたい放題させてもらいました。リクエストから大きくそれている可能性大)
(※超パラレル展開のうえに、黒スレとかを通り越して狂気の域になっているので注意)
(※アッシュは逆行していない方向でお願いします)
『君が死の淵に立てば、鳴り響く歓喜の歌』(お題提供:暫)
知ったようなことを言いやがって…。
おまえ達が幻想していた“人形(ルーク)”なんざ、初めからいなかったんだよ。
『嘆くな我が子よ…。おまえだけに背負わせはしない』
ドス黒い闇を心に満たしてしまったルークの後ろから、ローレライが抱きしめるように音素のベールで包んだ。
***
世界は今、争いの真っただ中だった。
これで負ければ、人類は絶滅するだろう。
人間達が存続をかけて争う相手は…、人間だけをこの世から消すことだけを目的に挑んできているのだ。
何の迷いもない、無慈悲な敵の正体…それは。
人間達が生活をするために利用し、自分達の体や世界そのものを構成する音素の集合体なのだ。
結晶となった音素からなる大小様々な形に、構成する音素によって能力も異なる敵達は、人間と、その文明だけを破壊し、それ以外には一切手を出そうとはしない。
まさに世界そのものの意志が作りだしたかのような敵に、譜術や音機関という武器は通用するはずがなく、それらの武器を使うことができなくなった人類はなすすべもなく滅ぼされるかと思われた。
だが人類は運命に抗い、音素の力を使わない兵器を開発して対抗した。
キムラスカの技術の要であるベルゲンド、シュリダンの技術者達と、マルクトからジェイドを筆頭とした研究者達の活躍で、かろうじて互角に渡りあうまでに戦力を増強することができた。
むろん兵器の面だけじゃなく、兵力の面でも、キムラスカの王位を継いだナタリアを筆頭にした新生キムラスカ軍。
マルクトから、ホド戦争の遺児ガルディオス伯爵の息子ガイラルディアと、ジェイドが人類軍を鼓舞し、日々人類存続のために戦い続けている。
未知の敵ではあったが、奇妙なほど熟練した彼らの手際に、不審を感じる者も少なくはなかったが、今や人類を代表した戦力の要である彼らを誰が疑おうというのか。
しかし…、ある時に入手した敵の情報を見て彼らの顔色ががらりと変わった理由について、彼ら以外に知る者はいない。
***
「どういうことなのかしら…」
ティアが呟いた。
この場には、ティア以外に、ジェイド、ガイ、アニスがいて、彼らが囲うテーブルの上には、先日入手した敵の情報に関する書類と、写真が置かれていた。
彼らが問題視しているのは、写真の一枚に写っている。
朱い。
髪の毛と。
翡翠の瞳を持つ。
青年の姿だった。
これは、敵側の中枢と思われる、敵が出現した年にオールドラント上空に出現した青白い水晶でできた逆さまの城、または塔のような超巨大な物体を、特殊な望遠カメラで写した時に偶然映ったものだった。
「なんであそこにルークが? まさかあの敵はルークが…」
「そんなはずがありませんわ! きっと敵の謀略に決まっていますわ」
「そうだよガイ。そうときまったわけじゃないんだからさぁ」
「それはそうだが…。この世界は、確かに俺達がいた世界の過去…なんだよな?」
そう彼らはただの人間ではない。
いわゆるタイムスリップのような体験を経て、未来から過去へ意識だけを飛ばしてやってきた人間たちなのだ。だから同じ年代以上に経験を持っており、強かったのだ。
しかし、その影響か、それとも何かが介入しているのか、彼らにとって過去であるはずの世界に、あの敵達が出現して蹂躙し始めたのだ。
彼らはある目的のために過去へ意識を飛ばした。その目的を達成するために世界を守るのだ。
「ふむ、しかし確かめる価値はあるでしょうね。皆さんもすでにご存じでしょうが、あの建造物に突入し中枢を叩く強行作戦の準備が進んでいます。ルークのことについては、もうその時に調べる以外にありません」
ジェイドの提案に、他の者達は頷いた。もうあとがないのだ。
音素を使えないことで、音素を使わない技術を生み出してきたが、それも長くは続かない。
音素という根源的な要素を欠いた人類側は、最初から圧倒的に不利だったのだ。
もう敵の中心を叩く以外に道がない。もし失敗すれば、人類の負けは決する。
そんな中でも、過去から来た彼らは諦めてはいない。
ルークという人物を、救うこと。
それを達成するために、彼らは決戦の地で唯一の手掛かりを手に向かうこととなる。
…しかし、そこで待っていた真実を。
はたして彼らは受け止めることができるだろうか?
***
決戦当日。
飛行機関による決死の突入作戦。
これによって飛行タイプの敵の大群と衝突し、大半が海の藻屑となったが、ジェイド達はかろうじて敵の中枢に入ることができた。
犠牲になった者達を悼む暇もなく、敵の中心を目指して、純白の建造物の中を突き進んでいく。
だが不思議なことに、敵の姿はなかった。
人気もなければ、ジェイド達が出す音以外もない静寂の世界はあまりにも不気味すぎた。
重力さえ皆無で、横を歩いたり、縦方向に歩いたり、天井も歩かねばならない目の回る空間を進んでいく。
やがて広い、飾りも何もない、ただ広いだけの真っ白な部屋に辿り着く。
その中央に彼らにとって見覚えのある、いや求めていた朱色があった。
「ルーク!」
名前を呼ばれると、ルークはゆっくりと彼らの方に振り向いた。
間違いなくルークであると解釈した彼らは喜んで彼に駆け寄ろうとしたが…。
「来るな」
はっきりと、有無を言わさない冷たい声で動きが止まった。
「おまえらのせいなんだぞ?」
「ルーク…何を言って…」
「黙って聞けよ」
ジェイド達は、ルークの言葉が持つ見えない力にされるがまま動けなくなり、黙ってルークの言葉を聞くしかできなかった。
「知ってるよ。おまえらが、俺の為に過去から来たってこと。…けどな、そのせいで世界はメチャクチャだ!」
無表情だったルークの表情が怒りに染まる。
「おまえらという異物が摂理に逆らったから、世界が人間イコール異物って判断して、歪みを修正するために人間を滅ぼそうとしてんだよ!! おまえらの独りよがりな行動がだぞ!? 分かるか? 分かんねーよな。だっておまえら自分が悪いことしたって考えちゃいないだろうからな! ここには敵を一網打尽にするものなんかねーよ! 残念だったなぁ! ハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」
ルークは狂ったように笑い続ける。
「また俺のせいにするか!? えぇ? おまえらが過去に来たせいで世界が滅ぶんだ、その原因は俺だろ? なあ!? アハハハハハハ!!!! どうする!? どうするぅう!? じゃあおまえらが死ぬか!!!?? そしたら歪みが消えて人類は助かるかもなぁぁぁ!? さあ、どうする偽善者ども!!!! ハハハハハハハハハハ、アーーーーハハハハハハハハ!!!!!!」
高笑うルークの体が徐々にひび割れ、そして砕け散り、消えた。
そこでようやく自由になったジェイド達だが、すると彼らを囲うように四角い映像を映す画面が幾つも出現した。
そこに映し出された、世界を補正するために世界が生み出した敵に蹂躙される人間達の映像。
その映像の中に、ジェイド達を恨む声、言葉が含まれており、どうやらこの場所でのやり取りが世界中に配信されていたらしい。
あんな奴ら、死ねばよかったのに
映像の一つに映し出された、ジェイド達と共に闘ってきた者が死に際に吐き出した言葉が群をぬいて彼らの耳、脳髄に響き渡った。
彼らを慕ってきた、親しかった、ともに闘ってきた人間達が、恨みと憎しみを吐きながら絶命していく映像に、女性達は泣き叫んだ。
この惨劇は、自分達のせいで起こったのだから。
「ルーク…! お願いだ……もう…、やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ガイは耳を塞いで、天に向かって叫んだ。
ジェイドは、映像から目をそらすように俯き、血が出るほど拳を握っていた。
彼らがいる空間には出口も何もなく、ただただ白い色と、彼らを絶望させる世界の終りの映像だけが存在していた。
***
「……−。起きろよ、ルシファー!」
「…うっ」
「こんなとこで寝るなよなー」
木陰で眠っていた青年を、朱い髪の青年が叩き起こした。
「なんだ“ルーク”か」
「なんだよじゃないだろ! 寝るなら部屋で寝ろよな! 風邪ひいたらどうすんだよ、たくっ」
「あーもう、悪かったから、そんな怒るなよな」
ルシファーと呼ばれた青年は、頬を膨らませていじけるルークの頭を撫でた。
「子供扱いするなー!」
「あーわりぃ、つい、な」
ますます機嫌を悪くするルークに、ルシファーは降参と手を挙げた。
なんとか機嫌を直してもらい、ルシファーはルークの屈託のない笑顔に頬を緩めた。
よかった…。
「? 何か言ったか?」
「何でもない」
「ふーん? あ、そうだ、あとで剣の稽古してーから付き合えよな!!」
「午前もやらなかったか?」
「なんだよ文句あるのか!?」
「いや、そうじゃなくて…、そんな詰め込もうとしたって剣の腕は身につかないもんだぞ?」
「っ! ちぇー…」
「でも努力することはいいことだ」
ルシファーはそう言ってまたルークの頭を撫でた。
「っくそー! まだガキ扱いかよ…!」
「まあ、そう焦るなって。……もう誰も、ルークのことを傷つけないし、邪魔もしない…」
だって……。
「俺が守るから」
その時ルシファーが浮かべた歪んだ笑みに、ルークは幸いにも気づくことはなかった。
ルシファーの部屋に置いてある、天体模型のようなオブジェ。
それを見つめる、端正な顔立ちの男がいた。
『……ふん。我に挑もうなどと馬鹿なことをした結果がこれだ。貴様らに我が子を救うことなどできん。だが安息など与えてなるものか。そこで永遠に苦しみ続けるがよい』
その悪夢が現実とならなかっただけありがく思え
オブジェの中では、彼らの身勝手さによって滅びゆく世界の悪夢を永遠に繰り返し、苦しめられる4つの魂が悲鳴を上げ続けていた。
あとがき
すごく悩みながら、とりあえず書いてみたらこのような形となりました。
ルシファーは、逆行(狂?)黒ルークで、部屋にいた男は擬人化ローレライさんです。
イメージとしては、逆行ルクは、現行ルクに激甘。絶対に黒い一面は見せないようにしている。
いったい何があったのか補足を入れますと、逆行しようとして一行はローレライと戦いました。
結果負けて悪夢に閉じ込められて永遠の悪夢を見ることになりました。(本人たちはその時の記憶がなく、逆行が成功したとしか思ってない。文中の状態を無限ループしている)
実際に逆行していたら、文中の悪夢のような状況に世界が陥っていたという設定にしています。
ルークが逆行できたのは、世界を構成する音素の集合体に限りなく近かったから歪みを生じさせずに済んだんです。
リクエストをくださった方、このような出来になりました。リクエストをくださった方のみお持ち帰り可能です。
お気に召しませんでしたら、書き直しを検討します。