60000ヒット記念企画で、拍手からのリクエスト『「着る者を亡くした衣裳」でピオニーか真ナタリアに断罪される話』






(※ピオニーか真ナタリアということでしたので、こちらの都合で真ナタリアにしました)
(※メリル視点)
(※悪夢的な雰囲気を目指したかったんですが…、失敗した)
(※あくまで、この話の舞台となっている別次元オールドラントでの、そこにいる大罪人PT(アッシュ含む)の罪状を出しているのでご注意ください)





















『きみ、私の食事はまだかね?』(お題提供:) 













 私達は駆けた。
 私達の世界ではない、この世界を。
 同じであるはずなのに、同じではない、この世界を。
 私達を追い詰める私達が見知った方々から逃れ。
 私達が知っているはずの、こんな私達を追い立て、私達を罪人とする方々のいない場所を、記憶にあるはずの本来の私達の知っている方々を求めて。

 けれど安息など、この同じであるはずなのに、違う世界には、どこにもなかったのですわ…

 私と、アッシュ…いえ、ルークとともにこれから先、治めていくはずの、キムラスカ。

 そこで私達を待っていたのは、ルークのレプリカと……。




 紅い




 紅い髪の毛と




 翡翠の瞳を持つ




 見知らぬ美しい女性が、お父様の座る玉座の隣にある、本来私が座る王女の椅子に腰をおろしていたのです!




 あれは、一体誰ですの!?
 紅い髪と、翡翠の瞳を持つということは、まさか王族の者!?
 まさか…、そんなはずがありませんわ! あそこはキムラスカの王女が座る場所なのに…。

 そこは、私…ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランヴァルディアが座る場所なのに!!




「大罪人の分際で、王女の名を語るとは何事ですの!!!!」


 王家の象徴を持つ女性が立ち上がり、私を睨みつけて怒りの声をあげた。

 たい…ざい…に…ん?

 私が? なぜ?


「よもや忘れたとは言わせませぬわ。アグゼリュスの崩落…。我が国の次期国王への不敬。カイツール軍港の襲撃者の擁護。影武者として役を利用し、私の名と立場を騙り親善大使に強引に同行をしたこと。任務放棄。…あげていたらキリがありませんわ。おかげでどれほどの犠牲と富が払われたのか、自分の胸に手を当てて考えてごらんなさい! それなのにおめおめと顔を出せるとは…」

 アグゼリュスの崩落? 何を言って…それはレプリカルークがやったことではありませんか!!!!

「ここまで自覚がないといっそ尊敬しますわ。あなた方が親善大使の任を放棄し、持ち場を離れ、そこにいる鮮血のアッシュと、ティア・グランツの勝手な勘違いに踊らされて、パッセージリングの操作を行いアグゼリュスの崩落とその他外郭大地への影響をを防ぐ作業を行っていた、ヴァン・グランツ総長に対し攻撃を仕掛けたという報告を受けていますわ。その時の作業の妨害と、あなた方の攻撃の影響で限界がきていたパッセージリングが壊れ、崩落を起こし、逃げ遅れた住人、及び救助活動にあたっていたキムラスカ、マルクト、ダアトからの救援隊の多くが亡くなったと…」

 そんな馬鹿なことが…! ヴァンは世界を滅ぼそうとしているのではありませんの!?
 なぜアッシュが責められなければなりませんの? 彼は私達に真実を伝えに来てくださったのですわ! 彼はこの国の真の後継者なのに!!
 そもそも、私達がアグゼリュスを崩落させただなんて、濡れ衣ですわ!! 私達はやっていませんもの!!

「…譜歌を歌い辛うじて生き延びたグランツ総長と、護衛に当たっていた兵達の証言ですわ。今現在、アグゼリュスの崩落の影響とリングの消滅によって、全ての外郭大地が崩落の危機にあるのですわ。……あなた方がリングの操作を妨害しなければ…、あれほどの犠牲者を出さずにすんだのに。そうでなくともあなた方が犯した罪の数々を片づけるのにどれほどの労力と犠牲と富が払われたか、考えてもみなかったでしょう…。不眠不休でグランツ総長がセフィロトをかけずり回らずともよかったのに。操作が間に合わず崩落していく大地も、民の不安を抑えるための犠牲や富も出さなくてすんだのに。何より……!!」

「ナタリア、落ち着くんだ!」

 ナタリア?

「平気ですわ。ルーク…」
 ナタリアと呼ばれた、王家の象徴を持つ女性が、レプリカルークに笑いかけていた。

 これは…、一体どういうことですの?
 あの女性がナタリア?
 ナタリアは、私なのですわ! あれは一体何者なのです!?

「……随分と物忘れの激しい罪人なのですわね? 仕方ありませんわ。しっかりお聞きになって、記憶なさい。私は、ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランヴァルディアと申しますわ」

「ナタリア、大罪人共に名乗らなくてもいいんだぜ?」

「ほんのサービスですわv 私の向かって、私の名を堂々と語ったその度胸への手向けです」

「二人ともそのへんにしておきなさい」

 お父様が、二人を制止し、私達に向きなおりました。
 その眼は…表情は、私を血がつながらなくても親子だと言ってくださった温かさなど一切ない、侮蔑と、嘲り、汚らしいものを見下すまるで氷のような冷たさをもったもの。大臣達も、兵達も私達を同じ目で見ている。
 それだけじゃない。ここに来るまで、民は私達を罪人だと追い立ててきたのですわ…。
 違う! お父様はそんな方ではありませんわ! この国もこんな所ではなかった!!
 こんな…、こんなものは現実では…。

「…何と勘違いをされているのか分かりませんが、これは現実ですわよ?」




































 ねぇ? メリル





































 幼い頃から、私が欲しかった王家の象徴を持つ、私達の世界では死産した本物のナタリア王女が、それはそれは美しく、笑った……。







あとがき

 失礼ですが、このリクエストを受けた時、書ける自信が正直ありませんでした(土下座)!!

 
「着る者を亡くした衣裳」(お題提供:DEVIOUSDDDS!)は、男主人公部屋においてある、外伝で連載中の長編です。
 五人いる主人公の一人(デフォルト名は、ミカド。名前変換では、上から三番目の奴)が、同行者達のルークへの仕打ちに怒って、復讐を行うという非道極まりないものです。
 連載2話目での、補足を再現しようとがんばったのですが…、いかにあの補足を勢いで書いたかが痛烈に分かる駄文になってしまったー!!

 このままではいかんので、この話での舞台となっている別次元オールドラントの流れを説明します。

 この話では、まずメリルの役どころなんですが、ナタリアの影武者として存在しています。
 影武者やってるうちにアッシュと好き合ったということで(もちろんアッシュはナタリアとの区別なんぞついてない目の節穴で)。その結果、
文中で真ナタリアがあげた同行者達の罪状に「影武者として役を利用し、私の名と立場を騙り親善大使に強引に同行をしたこと」というのが入りました。本編同行者と混在させられる前のメリルは恋は盲目状態だったということで。
 ヴァンとか六神将(アッシュ抜く)は、普通にいい人。本編前に改心したということで。
 キムラスカも常識的で、ダアトもそこまで預言を妄信していない(モースもいい人)。預言は世界の平和を守っていくための判断材料として扱われているので、パッセージリングの調査も兼ねてアグゼリュスの崩落を防ごうとする動きがあったわけです。
 別次元でも、ティア、ジェイド、ガイ、アニスは本編通りで。
 ここでのルークは、アッシュよりも優秀な次期国王。
 夢主が干渉を行ったタイミングとしては、時間軸は本編の崩落編で、外郭大地を降ろすためにあちこち駆け回っている頃くらい。こちら側にトリップさせられたPTは、まず降ろしたはずの大地が降りてないことに驚き、情報収集をしようとしたところ、罪人として追われ、安息を求めてキムラスカに逃げ込んだけど…という流れが上記文章。このあと、元になった補足文通り、バチカルを舞台にした大乱闘に発展します。
 今回の話は、メリルが別次元オールドラントで絶望するというもので収めました。


 ……き、機会があったらリベンジしたい!! 細かいところをちょこちょこと短文で!!(真ナタリア視点とか、良い人ヴァン視点とか、ピオニーとか色々と)


 あ、ちなみに夢小説からのものなのに、夢主が出てないのは、リクの元になっている補足があった2話目が、夢主と人修羅の会話のみだったからです。彼らがこの場面にいなかったので出しませんでした。


 このリクエストをくださった方へ、お詫びとともに、もっと細かい所が見たい!っというご要望がありましたら、力不足ながらお答えしたいと思っております。
 リクエストをくださった方のみ、お持ち帰りください。
 リクエスト、ありがとうございました!!







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