とくめーきぼー☆
TOA+BASARA2でアクゼリュス崩落後〜ユリアロード脱出まで。アッシュにだけは、ギャグ調で』












『神様が邪魔をする』(お題サイト:fisika様)
















「さあ、力を解放するのだ、愚かなレ…」
 だがヴァンは、最後まで言えなかった。
 幸村のドロップキックが頭に決まったからだ。
「ナイス、HIT!」
 幸村を投げる手伝いをした政宗がガッツポーズをとった。
「し、師匠!?」
「そいつに近寄るな、ルーク!」
「ルーク殿、こちらへ!」
「師匠、師匠! おまえら何やってんだよ!」
 白目をむいているヴァンを介抱しながらルークが、幸村達を睨んだ。
「そんな顔しないでよ、ルークさん…。俺ら止めに来たんだぜ?」
「何をだよ!」
「今、あのままそいつ(ヴァン)の言う通りにしていたら、君は超振動を無理やり使わされて、このアグゼリュスを崩落させていただろう」
「な、んなわけないだろ!」
「いいや。嘘じゃないだろ? なあ…、ヴァンデスデルカさんよぉ」
「…くっ!」
「うわっ!」
 ヴァンがルークの首を掴んで、剣をルークに突きつけた。
「貴様ら、これの命が惜しければ、去れ」
「それはいかないよ?」
 ヴァンの背後に瞬時に現れた佐助がヴァンの腕を斬りつけて、ルークを奪い返した。
「さあ、年貢の納め時だ」
 各人が武器を持ち、ヴァンを捕えようと動こうとした。
 ヴァンがニヤリと笑った。
「力を解放せよ! 愚かなレプリカルーク!」
「っ!!??」
 かけられていた暗示によって、ルークの体から超振動が発せられた。
 超振動はパッセージリングを砕き、地震が起こった。
「フハハハハ、これで貴様らもお終いだ!」
「て、てめえ!!」
「さらばだ!」
 ヴァンは、魔物を呼び寄せ、逃げて行った。

「クソッ、遅かったか!」

「てめえら、来るのがおせぇんだよ!!」
「このままじゃ崩落に巻き込まれる! 全員で力を合わせ、降下するぞ!」
 一致団結した幸村達は、各々の音素を合わせ、全員を包み込むように力を固定した。
 それを見て、慌てたアッシュ達もティアが譜歌を歌い、譜歌に包まれて降下していった。




***




 崩落したアグゼリュスの下。
 そこに漂う瓦礫の上に、ルークと幸村達、そしてアッシュ達が残されていた。
 立っている瓦礫も瘴気の海に沈みそうになったが、そこへ運よく漂って来たタルタロスに乗ることで助かった。
 一息ついていると、なぜかアッシュ達がルークを睨んでいた。
 ルークは、放心としており、その視線に気づいてなかった。
「おい、なに睨んでやがる?」
「アグゼリュスを崩落させたのは、ルークのせいよ」
「……だからなんだ?」
「だからなんだって!? おっかしいんじゃないの、あんた達! そいつのせいで、たくさん人が死んだんだよ!」
「僕達は、ルークと一緒にいたが、ヴァンが何か暗示でもかけていたらしく、ある単語を言った途端にルーク殿の力が暴走してしまったんだ。責任の所在は、ヴァンにあるとは思えないのかい?」
「ですが、やったのはルークですわ」
「事実は事実だ」
 ガイも便乗した。
「……まったく、おまえら話を聞いてたのかよ?」
 慶次が頭をボリボリとかいて言った。
「俺のせい…?」
 ルークが呟いた。
「ルーク、自分がやったことに自覚を持てよ。これ以上失望させないでくれ」
「失望? おまえからの信頼なんて微塵なもん、必要ねぇよ」
「変わってしまいましたのね…、昔のあなたはそんなんじゃなかったですわ」
「昔のことに縛られて、現在を見ないとは、おまえにとって大事なのは昔のルークであって、今のルークじゃないということだな?」
「ちが…!」
「何が違う?」
「ここにいると、馬鹿な発言にイライラさせられる」
「なにがイライラさせられるだ。むしろこっちがイライラする」
 ジェイドがそう言い、そう言われるとジェイドはひと睨みしてきてタルタロスの中に入って行った。
 他の面々も幸村達とルークを残してタルタロスに入って行った。
「なんなんだ、あいつら?」
「ルークのせいだって思い込みたいんだろう」
「質の悪いことだ…」
 幸村達は、溜息を吐いた。
「俺のせいで…、みんな死んだ…」
「落ち着け、ルーク殿。悪いのはあなたを操ったヴァンだ」
「でも、俺…あんな力…、あるなんて…知らなかった……。俺のせいだ…」
「誰だってそうだ。自分のことをすべて理解できるわけじゃない」
「とりあえず休もう。疲れてるんだ、ルークさん」
 ルークは、幸村達に誘われ、タルタロスの一室で寝かされた。
 幸村達が、それぞれもの思いに更けながらルークのいる部屋の前にいると、そこへアッシュが来た。
「どけ、てめぇら!」
「なに? ルークさんのそっくりさん」
「あの屑はどこだ!」
「くず? まさかルーク殿のことじゃあるまいね?」
「ハッ、てめぇらまるであいつのことを神のように奉っているらしいな?」
「それがどうした? ルーク殿は、我々の世界の神なのだ。奉って何が悪い?」
「だったら教えてやるよ、あいつは…、俺の劣化レプリカなんだよ!!」
 アッシュがそう叫んだ。
 だが幸村達は、動じなかった。
 最初こそ勝ち誇ったように言い放ったアッシュだったが、まったく動揺のどの字もない幸村達の視線に耐えかね、逆に顔を青くした。
「な、なんで、てめぇら、何も感じない!?」
「だからどーしたの?」
「なっ…」
「ルーク殿は、ルーク殿だ。我々には分かる」
「ルークは、どこまでいったってルークさ。俺らのな」
「それよりも、おまえがルーク殿にそっくりなことに驚いたぐらいだ」
「なんでそんなにそっくりなのかな?」
「他人の空似もいいところだろ?」
「いやいや、ルーク殿はこんな眉間にしわ寄せたしかめっ面してないって」
「あと、可愛くない」
「ええ。可愛くありません」
「謙信様の言うとおりです」
「いくら似てても間違えないよなぁ。こんなに可愛くなかったら」
「……!」
「そうだな、忠勝。まったくもって可愛くないからな」
「本当に可愛くありません」
「そうだな、まつ」
「うむ」
「僕もそう思うよ、秀吉」
「て、てめぇら…」
 口々にアッシュがルークに似てることの方がびっくりだと言われ、特に可愛くないと言われ、アッシュは怒りでプルプルと震えた。心なしか涙目だ。
 やがて幸村達の視線に耐えられなくなったのか、アッシュは舌打ちしながら踵を返し去っていった。
「なんなんだ、あいつは…」
「放っておけ」
 アッシュのことは放っておくことにした。




***




 そして、タルタロスは、やがてユリアシティについた。

 ティア達はさっさと降りて行き、幸村達はルークを気遣いながらタルタロスを降りた。
「ルーク殿、歩けますか?」
「ああ…」
 ルークは、そう言いつつも足取りが危うかった。
 その時、ユリアシティの奥の方が騒がしくなった。
「なんだ?」
「誰か様子を見に行け」
「佐助」
「かすが」
「はいよ」
「はい!」
 佐助とかすがが、奥へ向かった。
「…待てよ」
「どうした?」
「ここは、ユリアシティ…、つまり預言の総本山だ」
「あっ…」
 全員が気付いた。
 つまりユリアシティの奥での騒ぎは……。
 そこへ、アッシュ達が走ってきた。その後ろにユリアシティの住民達が追って来る。武器を持って。
「ちっ、やっぱりか」
「どうする?」
「大人しくさせるのが吉だ」
 そう言ってルークを抜いた面々が武器を構えた。
「こ、殺すなよ!」
「分かってるって、ルークさん」
 そして、幸村達は、アッシュ達とすれ違う形でユリアシティの住民達と戦うべく走っていた。
 数は違うが、圧倒的な力の違いに、ユリアシティに閉じこもっている住民達が適うはずがなく、あっという間に鎮圧された。
「なるほど…、預言通りに聖なる焔に死んでもらおうとしたのか」
「う、ぐ……。その通りだ」
「おじいさま!」
「ちょっとあんた達、乱暴しすぎだよ!」
「そうでなきゃ、おまえら殺されてたろ?」
「うっ…」
 指摘されてアニス達は押し黙った。
「預言預言って…、鬱陶しいね。ねえ、秀吉。いっそのことこの街壊しちゃおうか?」
「そうだな…」
「待て待て待て! なんでそうなる!」
 なんか物騒な方向に行こうとしている彼らにルークがツッコミを入れた。
「でもルーク殿…。この街は危険だ。現に彼らを殺そうとした。ここは狂信者達の総本山なんだ」
「だからって…、殺すことない!」
「ルークさんってば、優しいね〜。ルークさんが止めてなかったら、とっくにこいつら始末してるところだよ…」
 そう言って佐助が床に座らされてる街の住民達を睨んだ。
 住民達は、テオドールを含めて震えあがった。
「しかし、どうする? このままここにても埒が明かない」
「ここがローレライ教団の総本山なら、出入り口があるはずだろ? それを使って上に戻ろうぜ」
「なら決まりだ。おい、出入り口はどこだ?」
「ゆ…ユリアロードがこの奥に…」
「お待ちください。どこへ行かれるんですか?」
 ジェイドが行こうとする幸村達を呼びとめた。
「上に戻るだけさ」
「あのパイナップル頭も残っているしな」
「ルークを連れて行く気ですか?」
「ああ、それで?」
「彼はおいていってもらえますか?」
「なぜ?」
「彼はアグゼリュスを崩落させた大罪人です」
「ルークを操ったのはヴァンという男だ。真の元凶はその男にあるだろう」
「なら聞くが、お前たちは、剣で人を殺したとして、その剣を責めるのか?」
「そんなわけないじゃない!」
「同じことだ。先ほどの例えで出した剣はルークのことだ。ならルークを責めるのはおかしい」
「ですがルークは剣ではありませんわ」
「例えの話だ。何を聞いていた?」
「その屑さえいなけりゃ、アグゼリュスが落ちなかったんだぞ!」
「そうなれば別の方法で…、もしかしたらおまえを使っていたかもしれないぞ?」
「っ!」
 言われてアッシュは、身を震わせた。ヴァンならやりかねたないと思ったからだ。
「ルーク殿を否定するのは我々は許さない」

「そこにいたのかーーーーーーーーーーーー!!」

「ゲッ! 面倒なのが来たぞ!」
 武蔵の声を聞いて、幸村達は顔をしかめた。
「行こう…。」
 ルークが言った。
「ルーク殿?」
「ヴァン師匠が何を考えているのか分からない…。でも…行かなきゃ…。このままじゃ、きっと良くないことが起こるから」
 ルークのその顔には強い決意が浮かんでいた。
「ルーク、責任逃れをする気なの!?」
「違う。俺は責任からは逃げない。だけどこのまま悲しんでいても何も変わらないから、行く」
「なにが行くよ! あんたなんかになにができるってのよ! こんなことなら、あんたが死ねばよかったんだ!」
「それでも行く。何ができるのか分からないけど」
「ルーク、頼むからこれ以上失望させないでくれ。おまえはもう何もするな」
「何もしないままなんてできない」
「お待ちなさい! 何をするのか知りませんが、あなたは裁かれるべきですわ!」
「裁きだって受けてやるさ。」
「ハッ、何が受けてやるだ! てめぇはただ臆病風に吹かれて現実から逃げてるだけだろうが!」
「そう思うなら、勝手にそう思え」
 ルークは、彼らにそう言うと、踵を返し、ユリアシティの奥へと向かった。
「みゅう! ご主人様、僕も行きますの!」
「ブタザル。おまえはあいつらをいろ」
「嫌ですの! ご主人様と一緒じゃなきゃ嫌ですの!」
「…勝手にしろ」
 そう言いつつ、ルークは、足にしがみついてきたミュウを摘まみあげて肩に乗せた。
 そんなルークを捕まえようとティア達が動こうとしたが、幸村達に武器を向けられて止まった。
「ルーク殿の決意の邪魔はさせない」
「どけ!」
「じゃあ、死ぬか? 預言通りに」
「っ…」
「臆病なのはむしろお前の方だな」
 そう言われアッシュは激昂したが、幸村達の闘気にあてられ、膝をついた。
 残されたティア達は、幸村達を恐れて、その場にしばらく固まっていた。
「待て待てーー! 俺と戦え、ルーク!」
 ユリアシティの奥へ行った、ルーク達を追って、武蔵が走って行った。




***




 ユリアロードを抜け、アラミス湧水洞を歩いていたルークは、ふと立ち止まった。
「なあ…、おまえらついてくるのか?」
「ルークさんを置いていくわけないじゃない」
「我々は、どこまでもお供しますよ」
「……勝手にしろ」
 ルークは、そうぶっきらぼうに言いつつ、その顔に僅かに赤がさしていた。








あとがき

 お待たせしました。

 アグゼリュス崩落、崩落後はだいたいこんな感じになります。
 ルークは、決して現実から逃げているわけじゃないです、ただじっとしても何も始まらないと分かっているから行動に移しているだけです。悲しみに暮れていても死んだ人たちは戻ってこないから、立ち上がる。
 ちなみに、書かれてませんが、タルタロスでひとしきに泣いています。

 ギャグ調でということでしたが、中々うまく書けず、とりあえず、可愛くないと言われ続ける状態にしました。





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