妖音様からのリクエスト
『キラートマト味改良その後(出来ればルークに食べて頂きたい)』









 もとネタ→墓地部屋のゾンビ映画トリップネタ(オリキャラの養父設定)







オリキャラ名(キラートマト事件のときの年齢)
・レミディタナ・カーマン(14)(愛称:レミー)
・アロクド・E・カーマン(43)(色んな意味で最強のレミーの育て親)







簡易あらすじ
 トマトが好物のカーマン家では、畑でトマトを栽培している。
 しかしある日畑に行ったら、ちょうど世間ではトマトが人を襲うようになっていた(映画キラートマトから抜粋)。
 カーマン家も例外じゃなくこの事件に巻き込まれ、畑のトマトが襲いかかってくる。
 しかし相手は謎の多い最強。でかいだけのトマトが敵うわけがない。
 負けたトマト達は、カーマン家の大黒柱アロクドに味がまずい、うちのトマトはこんなじゃないと説教をされ、味を改善するよう言われる。
 そして脅えるトマト達を残してアルクドはレミーと家に帰って行った。
 この話では、上記の出来事がTOA世界で発生して、アロクドがなんだかんだでファブレ家に深くかかわっているという設定にしています。このためレミーは、ルークと知り合いになる。











【お先、真っ赤っか】

















 母上と父上の古い知り合いの息子だっていう奴と、仲良くしろって言われた。
 髪が銀色で、目が黒くて、そしてやたら背が高い、なんかだるそうな奴だった。
 けどその印象はすぐに覆された。
「アロクド・E・カーマンの息子の、レミディタナ・カーマンです。以後お見知りおきを」
 ものすごい優雅な仕草で頭を下げながらそう言って来た。
 たまに屋敷に来る貴族なんかよりよっぽど完成されたものがこの男にはあった。
 口では例えられない、そんな人間だった。
「れみでぃ…、言いにくいな。もっと呼びやすくなんねーのかよ」
「そう来ると思って、私のことは以後レミーと呼んでください」
「ああ、それなら呼びやすいな。ってかレミー、おまえあのおっさんの息子なんだろ? あんま似てねーな?」
「そりゃ血が繋がってないからっすよ。俺は親に道端に置き去りにされたところを、あの人に拾われたものでしてね」
「あ…ああ、そうなのか、……わりぃ」
「別に気にしてませんし、謝る必要はないっすよ」
「そっか…。ってゆーか、おまえいくつ?」
「14っ」
「はっ?」
「14になったばかりですが?」
「……」
「……」
「……」
「………あー、たっぱ(背の高さ)のことっすか? まだ十代なんですから諦めるのは早いと思いますよ?」
「なんも言ってねぇだろ!!!!!」
「違いました? そりゃ悪ぅございました」
「…違った……」
「?」
「レミー…、おまえあのおっさんそっくりだ!!」
「よく言われますけど?」
 若いころに似てるって知人から。そう言って煙草を吹かす姿は実に絵になっていた。それが余計に腹がたつ。
 なにこいつ、なにこいつ、なにこいつーーーーーー!!!!!!
 レミーに対する俺の印象は最悪だった。
 無駄に背が高いうえに、顔が良い。そして何でもできるらしい。
 俺より3つ下のくせに、なんだよこの不公平!
 何食ったらそんなに背が伸びんだよ!っと聞いてみれば…。
「………トマト?」
 なんで疑問形?
 トマトって…、あのトマトだろ?
 赤くて、青臭くて、酸っぱいあれだろ?
 アロクドのおっさんもレミーも、トマトが大好物らしい。
 …だからでかくなったのか? いやいや、まさか…。
 ……そういや何ヶ月か前に、でかいトマトが人を喰うって話聞いたことあんな。まさかそのトマトじゃねぇよな?
「こんど家のトマト持ってきましょうか?」
 そろそろ味が変わってると思うんで、と、なんか意味深なことを言い残してレミーはこの日、アロクドと帰って行った。

「俺、トマト食えないのに……」
 次にレミーが来る日は分からないが、つい呟いた。
 この日、ヴァン師匠が忙しいから特別に稽古をしに来てくれた。
 うかれてた俺は、まさかあんなことになるなんて一ミリも考えていなかった。
 歌が聞こえて眠くなって、変な女がヴァン師匠を襲ったから咄嗟に助けようと飛び出そうとした。
 その時だった…。
 どこからともなく、超巨大なトマトが飛んできて女は悲鳴を上げる暇もなく下敷きにされた。
 潰れたせいで辺りにトマト独特の酸っぱい匂いが立ち込める。
 なんともいいがたい空気が辺りに立ち込めた頃。
「あーあ、潰れた」
 呑気に歩いてきながらそう言いつつ、巨大トマトに片手をおいて体重をかけるように立つレミーがいた。
 いや、おまえのせいだろ! 投げたからだろ! ってか、トマトでかすぎ! どっからどうやって屋敷に持って来たんだよ!?
「だー! もう、どっから突っ込めばいいかわかんねーーー!!!!」
「トマト持ってきましたよ」
「ああ、そうか…って、これもうトマトって次元じゃねーだろ!!!」
 思わずびしぃっとつっこみを入れてしまう俺。
「トマトっすよ」
「いや、形トマトだけど…、でか、でか過ぎっつーか…」
「なんか知らないがでかくなったもので。しかも人を襲う」
「人襲うトマトのどこがトマトだよ!? ってゆーか、人襲うって、例の人喰いトマトじゃねぇか!? マジでかよ!」
「人を襲うなって調教はしてありますから問題なし。ただ味が不味かったんで味の改善を言い渡してありますから。たぶん美味くなってると思いますよ?」
「毒味してねーのかよ! ってか調教って……。それよりか、人喰うやつを俺に食わす気かよ!」
「まあ確かにでか過ぎますけど、全部食べ切れれば少しは背が……」
「食えるかぁ!!!!! むしろ食い切れるかーーーー!!!!!」
「やってみなけりゃわからんでしょ?」
「絶対いやだ!!!!!」
「もうコックさんに料理頼んでますんで、今日のディナーはトマトのフルコースっすよ?」
「何勝手なことしてんだ!!!! こんなの食うぐらいなら餓死してやる!!!!!」
「背…、伸びないっすよ?」
 一生小さい男の勲章握りしめますか?っと言われ、俺はうっと言葉を詰まらせた。
「伸びなかったら伸びなかったで、食ってから考えればいい」
「根拠なしで言ってたのかよ! 人が我慢して食おうとしてっときに!」
「何事も実践で得た結果があってこそ。チャレンジャー精神こそ結果を出すのに必要だと俺は思いますけど?」
「ぐっ……」
 結局、その日の夜のディナーは、本当にトマトのフルコースだった……。
 悔しいことに今まで食ったどのトマトより美味かった……。
「よかったすね。苦手なもん克服できて」
「……」
「これで安心して明日も明後日も明々後日も、トマトフルコースでいけますね」
「なんだそりゃ!!!! 今日だけじゃなかったのかよ!?」
「今日のディナーだけであのでかいのを消費できると?」
「…他の奴も食えば速くなくなるだろ」
「残念だが、あのトマトはあなたのために納品したのであなた以外が消費することは許されない。諦めて爪の先から足の先までトマト臭くなるほど食え」
「トマト臭くなってたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「諦めも肝心。それはそうと、少し背が伸びてますよ」
「えっ! マジで!?」
「たぶん、気のせいだが」
「気のせいって言うな!!!!!」
 俺、レミーは苦手だ……。なんだかよく分からん。
 この淡々とした態度も、無駄に背が高いのも(しかもまだ成長中)、顔が良いのも、何でもできる天才ってことも。
 こうして俺は、レミーの家の畑で採れるトマト(巨大)だけは食えるようになった…。
 ちなみに1週間後、俺の身長は3センチ伸びた。
 背が伸びて喜ぶ俺だが、ある不安が過った…。
「あのさ…、あのでかトマト食ってマジで大丈夫なのか?」
「さあ?」
「『さあ?』じゃねぇ!!!! 俺がトマトになったらどーしてくれんだよ!!!!!」
「大丈夫でしょう。うちの店じゃ、2ヶ月前からあのトマトを切り売りにしてますが、クレームはまだ来てない」
「……ちょっと待て」
「ん?」
「店で売ってる?」
「……あー、気付いたか」
「前、俺に毒味まだとか言っといて、実は食ってただろーーーーーーー!!!!!!」
「冗談のつもりだった」
「おまえの冗談は冗談になってねぇ!!!!」
「背も伸びたし、トマトも克服できて結果は出たじゃないか」
「腹立つ! おまえマジで腹立つな!!!!」
 怒り爆発の俺を尻目に、レミーは淡々と煙草をふかしているだけだった。
 本当に絵になるから余計に腹が立つ。


 人喰いトマトのおかげ(?)で背が伸びて、嫌いな食いものをひとつ克服した俺は、偶然にも大爆発を防ぐことになった。
 レミーの養父のアロクドが、レミーが放り投げたトマトで捕獲されたティアを出汁に、ダアトを脅しまくって俺への親善大使の話をチャラにした。
 アロクドが父上の依頼で、本物のルークのアッシュを捕まえてきた。アッシュは、でっかいたんこぶが頭に出来てて簀巻きにされていた。それでいてシャベルを肩に担いで鼻歌を歌うアロクドに横に担がれた状態で屋敷に運ばれてきた。
 アッシュは今まで音信不通だったことを父上と母上に散々説教されて、ファブレ家を放り出された。
 ナタリアは、アッシュに愛想尽かして、なんだかんだで新しい婚約者が出来て、俺との婚約も破棄になり、俺は国を支えるために勉強することになった。
 レミーは、ナタリアからのスカウトも断って、アロクドと何でも屋を続けている。
 死体以外なら売り物にするをモットーにした店を切り盛りしている傍ら、レミーは俺の要請にはすぐ駆けつけてきた。
 何考えてるか分からないうえに、何にも喋らないレミーが俺を優先するのが、あいつなりの俺への友情の証明だと気付くのは、結構あとのことだ。

「おまえさ…、もっと喋れよ」
「……」
「おーいっ」
「…面倒っ」

 ……マジで可愛くない野郎。
 なのに煙草を吹かす姿が無駄に絵になる見た目は、20過ぎて余計に磨きがかかって、余計に腹が立つ。
 レミディタナ・カーマン。愛称は、レミー。
 銀髪に、黒い瞳。
 見かけ、無駄に絵になるカッコ良さ。身長、でかい(アロクド(192)よりでかくなった)。ヘビースモーカー。なんでも出来る天才。
 こんなへんてこな奴だが、なんだかんだでいい奴なんだよな。










あとがき

 レミーというキャラは、かなり前に作ったものなのでうろ覚え…。たぶん最初の頃のものとは違うと思う。
 ルークとのやり取りは、ルークのためを思ってやってることです(伝わりにくいが)。計算づくです。
 ガイのことが全然出てきてませんが、公爵がアロクドに調べさせてペールと一緒に他所に左遷しました。
 アロクドさんと公爵夫妻は、国の裏事情で知り合って以後ビジネス関係を結んでいます。重要な情報から貴重な物資まで、死体以外ならなんでも取り扱う店を構えつつ、アッシュを捕まえてくるとかビジネスでの結びつきを利用して国ごと脅すこともする。アロクドにしてもレミーにしても、あくまでビジネスなので正義感とか戦争沙汰自体はどうでもいい。恩義とかいったものもあるけど、自分達にとって有益になる方を選んでいます。
 レミーとの関係を保てるかは、今後のルーク次第です。(まあ、結局無自覚に関係を保つのですが)

 リクエストをくださった妖音様へ。こんな出来になりました、遅くなり誠に申し訳ありませんでした。
 ご不満がありましたら、書き直しをしますので遠慮なく言ってください。








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