一万ヒット記念 アルカナ様からのリクエストで、『ED後、過去逆行へのただ一つのキップをかけた仲間達のバトルロワイヤル。バットエンディングで』
(※勝ったのは誰でもいいということでしたので、ティアにしました)
『そして、愛しき者に再び出逢う』
……勝った。
血塗られた大地の上で、1人の女性が一人立っていた。
その手には、血にまみれ、この場で行われた死闘を物語るボロボロになった杖、刃が欠けたナイフ。
今、この大地の上で息をしているのは、彼女だけだ。
今しがたまで繰り広げられていた戦いに参加していた者達は、すでに息を引き取っている。
「ローレライ…、勝ったのは私よ…! 約束でしょう!?」
少女は赤黒く染まった天に向かって、深手を負った体を鞭打って叫ぶ。
彼女…ティア、そして彼女の周囲に転がる、かつて聖なる焔の名を持つ青年とともに世界を救った英雄達に、ある提示をした、この星において神に等しき存在に向かって。
始まりは、エルドラントでのヴァンとの決戦から三年後のことだった。
『戻ってくる』と約束をして、神に等しき存在であるローレライを開放して消えた聖なる焔の名、ルークという青年。
……だが、エルドラントを一望できるタタル渓谷で彼らを待っていたのは…。
ルークというレプリカの被験者である、本物のルーク・フォン・ファブレであった、アッシュだった。
けれどアッシュは、以前のアッシュではなかった。
完全同位体の被験者とレプリカとの間に起こるという、大爆発という現象で、ルークは、アッシュと融合し、アッシュの意識に上書きされ、記憶だけを残す形になってしまったのだ。
それを、二人が一つになって戻ってきたと祝福はした。表向きは…。
けれど、かつてルークとともにいた者達は、満たされなかった。
それどころか、彼がすでにこの世にいないという絶望が募り、それはどんなに努力しても変えることのできない現実によって重さを増していく。
やがてそれによって心が押しつぶされようとしたとき。
声が…聞こえた。
『救いを求めるか? 我が視た未来を少しでも変えた者達よ』
現れたのは、三年前エルドラントから天へと上がっていく金色の光の塊。
第七音素の集合体、ローレライだった。
『それほどまでに救いを求めるのならば、過去へ戻してやろう』
かつて彼らは、ルークに決して消えることのない傷を負わせた。
そしてその傷をさらに深いものにしてから、彼を失ってしまった。
彼らは後悔した。
何故、あの時こうしなかったのかと。
何故、あの時あんなことをしてしまったのかと。
何故、彼はここにいないのかと…。
『ただし、それには条件がある』
ローレライが出した、過去をやり直すための条件。
それは…。
『過去を変えれば、今ある未来は変わってしまう。そのために、今ある世界を滅ぼせ』
『過去への旅は多くの力を要する。過去へ戻せるのは、ただ一人だけだ』
『全てが終わったら。迎えに来る』
……ローレライはそう言葉を残して、消えた。
彼らは思い悩んだ。
この世界は、ルークが命をかけて、いや命を捧げて救ったもの。
それを自分達の手で破壊しろと?
……けれど。
もし…。
もし…、また彼に出会えるのなら…。
彼が幸せになれる世界が、その先に待っているのなら?
もはや、彼らの心を占める絶望の重みは、限界を超えてしまっていた。
ルークの記憶を持つアッシュの声でさえ、もう届かない。
壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ壊れてしまえ
彼のために。
世界よ。
壊れ、滅びてしまえ!!!!!
彼ら以外、生きる者のいなくなった大地の上で、かつてルークが命をかけて取り戻した青空さえ失われた世界で、彼らはローレライから提示された過去へと戻るための条件を満たそうとしていた。
戻れるのは、ただ一人だけ。
そうして、勝ったのはティアだった。
『ほう……、まさかユリアの血筋のものが残るとは…』
ティアの目の前に、金色の光が現れた。
『約束だ。おまえを過去へと送ってやろう』
ローレライの言葉に、勝者であるティアは歓喜した。
ああ…、これで…これで、彼に会える!!
目の前がものすごい光に包まれ、ティアはその向こうで待っているであろう救いに、幸せを期待して目を閉じた。
「………………………………………………………?」
ティアは、目を覚ました。
そしてすぐに感じたのは、自分の首を固定する器具の冷たさ。
ぼやけた視界が鮮明になれば、目の前に広がるのは、何かの台座の上から一望できる、民衆。
「…あれ……?」
ティアはどうにか首を少し動かして、上を見上げた瞬間、見えたのは。
自分の首に向かって一直線に振り落とされる、処刑人の斧の、銀色の刃だった。
そして一瞬の衝撃とともに、回転する視界。
それが酷くスローに感じられた。
ゆっくりと変わっていく視界の中に、一瞬だけよぎったのは、彼女が求めていた、青年の朱い色。
彼の口が、動いていた。
バーカ
確かに彼の口が、そう言っていたのを、なぜか鮮明に記憶したまま、やがてきた鋭い衝撃とともにティアの意識は闇へと堕ちて行った。
あとがき
一発書きです!!
一時間かかってません!!
がんばってリクエストのイメージを出そうとしましたけど、どうでしょうかアルカナ様!?
リクエストくださったアルカナ様だけが、持ち帰り可能です。いやでした返品でもなんでもしてください。
戻る